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平成8年度 No.3 1996年9月1日 (財)資産評価システム研究センター (通巻94号)

 

地価下落と固定資産税の評価

自治省税務局資産評価室長 北谷富士雄

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固定資産税の土地については、評価と負担の両面から考える必要がある。
特に、平成6年度から実施された地価公示価格の7割程度を目標とする宅地の評価については、公的土地評価や市町村間の評価の均衡化・適正化を日的とするものであり、これからも基本の考え方となるが、評価水準の目標が定められていなかった時期の評価と負担との関係から、高水準の評価額を前提として税額が算出されているとの認識もあってか納税者の関心も強い。納税者の税負担に配慮しながら、土地評価に付する信頼を確保する視点で取り組む必要があると受け止めている。
平成9年度評価替えは最終局面を迎えている。
評価替えか3年毎ということもあって、土地は大きな地価下落、家屋は建築資材の下落によって評価額は減価する見込みである。加えて、土地については最も直近の地価公示価格(8.1.1)を活用しているが、その後もなお地価下落の続いている地域があり、その下落も評価に反映すべきとの要請があった。
しかし、市町村の評価手続き(評価から課税まで)を考慮すると、基準年度の1年前の地価公示価格等を活用して行う現在のサイクルは必要最小限のものと考える。とはいいながら、大きな地価変動、特に形式的な逆転が生ずるような急激な地価下落に対応した措置を、臨時的とはいえ評価制度の中に構築しておくことも必要と思われる。
もとより、全国3,300の団体が同時に行うのであるから、3年毎の評価替えと同様のきめ細かな措置は不可能で、公的地価調査を活用した臨時的な方法とならざるをえない。
先般開催された中央固定資産評価審議会では、こうした考え方による地価下落に対する緊急臨時措置が了承され、都道府県に通知された(告示も行われる)。
金融をはじめ、24時間体制の情報化社会を迎えつつある中で、多くの社会制度が早いテンポで変わってきているが、土地評価制度も30年を経ての7制評価と引き続く地価下落に対する措置、全路線価等の公開等、大変苦労の多い時期となっている。
負担の基礎ともなる評価について、とりうべき最善の努力をお願い申し上げたい。

 

地価下落と固定資産税の評価 北谷富士雌(1)
「両地計算法における所要の補正に関する調査並びに用途地区別の宅地の画地計算に関する調査研究」の解説と補足 岡淳二(2)
家屋の比準評価及びその活用方法に関する調査研究−家屋研究委員会報告書の概要− 伊藤千恵(6)
平成9年度評価替えにむけて 廣田隆(10)
平成9基準年度再建築費標準基準表に係る留意事項 長山由起夫(12)
通達 (14)
業務だより(20)

 

 

 

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